猛暑の只中にあって2019/09/01 12:00 (日)
理事長 増岡孝紀
気象庁からは「一つの災害として認識している。」とのコメントまで飛び出すほど今年の夏も続いた記録的猛暑。残暑の季節に入り、ツクツクボウシの鳴き声と共に峠を越えたのか、頬を通り過ぎる風も幾分爽やかに感じられるようになりました。
新しい令和時代の元年度も早や半ばを迎えましたが、平素からニューライフ君田へお寄せいただいている皆様のご支援ご協力に対し、改めて深く感謝を申し上げる次第です。
猛暑の危険性とともに、「世界的な気象異変」や「災害多発時代」などと巷間かまびすしく叫ばれ、真実、何時いかなる災害に見舞われるかわからない昨今ですが、備北福祉会では、災害に伴って発生することが予測される「停電事故」に備え、入所施設に自家発電設備を設置する決断を致しました。この「停電事故」、特に夏場の高温期に発生しますと、施設の空調機能が停止し、熱中症など利用者様の生死に直結する重大事態となる危険性が高いためであり、今年度は、国県の補助を受けニューライフ君田へ設置します。かなりの法人負担も必要とする事業ですが、利用者様の安全な生活環境のためには必要不可欠な対策と考えています。
さて一方、社会福祉法人を巡っては、社会福祉事業の主たる担い手として「公益性」「非営利性」などその本来在るべき姿への回帰が強く求められる中、一昨年改正社会福祉法が施行されましたが、それから2年を経て、具体的にどのような実践がなされているかが問われる段階へとステージが移行してきました。備北福祉会では、これに合わせ、新しい基本理念「和のこころを大切に。共に生き、共に学び、共に成長する。」を策定し、様々な境遇の人たちが、相互理解のための絶え間ない努力により、それぞれの人間性を高め合いながら成長していける社会の実現を目指して法人活動に取り組んで参りました。遅々とした歩みですが、一歩一歩階段を昇るごとく新しい時代の福祉のあり方を求めていきたいと考えています。
人は、祭りが終わった後の静けさと寂しさの中でこそ真の感動を味わうものですが、私は今、獰猛な嵐のようだった夏の終わりを感じながら、あの猛暑の只中にあって、再び基本理念に正対して思い至った一つの「忘れてはならないこと」を回想しています。それは、以前この欄にも書かせていただいた「『今よりももっと良いサービスの形があるはず。』という緩みない向上心と探究心」への原点回帰のことです。福祉サービス提供者として、決して現状に満足することなく、常に一段高いランクのサービスのあり方、サービスの理想形を目指して、日々絶え間なく努力を積み重ねていかねばならない。ツクツクボウシの鳴き声も次第に遠のき、辺りにやがて迫りくる夕闇の深さを感じながら、そういう思いを強くしています。
最後になりましたが、皆様にとって、これからの日々が穏やかに過ぎて行きますよう祈念申し上げ、挨拶とさせていただきます。
(令和元年晩夏)
平成26年度を迎えて2014/04/20 12:00 (日)
障害者支援施設ニューライフ君田 施設長 増岡孝紀
気象変動についての話題に事欠かない昨今です。
昔から「4月の10日ごろが見ごろ」といわれてきた三次地方の桜前線も、最近では10日にはほとんど散ってしまっていたり、中旬ごろ満開になってみたり、年々不透明感を増してきていると感じるのは私だけでしょうか。
新年度を迎え、平素からニューライフ君田へお寄せいただいている関係各位のご支援ご協力に改めて深く感謝を申し上げます。
さて、平成26年度は、私たちにとって特筆すべき年になりました。ご承知のように、わが国政府は本年1月、国連に対し「障害者権利条約」の批准書を提出しました。これにより条約は正式に発効したわけで、最高法規の憲法と、約7千以上ある一般法の中間ぐらいに位置して「一般法を縛り」つつ、「権利条約のコンセプト(基本理念、目指す方向)が、障害者福祉に関する制度や施策に対しても決して逆行することのない流れ」として作用し続けることになったのです。
この記念すべき平成26年度、ニューライフ君田では、2名の新人職員が仲間に加わるなど、多くの職員の異動がありました。それぞれの新しいポジションにおいて、「障害者権利条約」の根幹を貫く「保護や支援の対象ではなく、社会において障害のない人と同等に尊重される権利の主体としての障害者」という思想に正対しつつ、「『今よりももっと良いサービスの形があるはず。』という緩むことのない向上心と探究心」をもってそれぞれの課題に取り組んでいただくよう念願しています。
また、就労センター三次の移転事業も国庫補助事業の指定を受け、本年度新築移転する運びとなりました。利用者の増加や就労に関するニーズの多様化等が懸案となっていただけに、喜びも一入というところです。
そんなこんなで、関係各位にはまた色々とご支援、ご協力をお願いすると思いますが、本年度も、どうかよろしくお願いいたします。
(平成26年4月)
平成25年度を迎えて2013/04/18 12:00 (木)
障害者支援施設ニューライフ君田 施設長 増岡孝紀
平成25年度を迎え、平素からニューライフ君田へお寄せいただいている皆様のご支援ご協力に対し、改めて深く感謝を申し上げます。
今年は春先から寒暖の差が激しく、桜の開花はどうなるのかやきもきした気持ちで新年度を迎えましたが、さすが君田の桜はちゃんと季節の帳尻を合わせて「例年並」に満開になってくれました。
さて、ご承知のとおり、4月1日には障害者自立支援法に代わる新法「障害者総合支援法」が施行となりました。私たちはこの新たな流れを受けて、具体的にどのように変わっていかなければならないのでしょうか。
全国身体障害者施設協議会の「地域における施設の機能・役割に関する特別委員会」は、新法の施行を受け、「施設ケアの『転換』のキーワード」として「『安全・安心の保障』から『チャレンジできる場所』へ」を提唱しています。障害者支援施設は、今までにもサービスの緻密さと個別性を追及してきたが、その方向性は利用者に安全・安心を保障したいという思いからリスクマネジメントとしての個別支援の傾向が強かった。これからは、通常の生活を営む上で人間誰しもが向き合うリスクには、障害者も遭遇して当然であると意識したい。とし、マネジメントの方向性として求められているのは、利用者個々のリスク要因を除いたり、管理・禁忌を強化することではなく、エンパワメントとしての個別ケアであり、それこそが障害者支援施設に求められる専門性であるとしています。「エンパワメント」についての一般的な考え方は、「様々な意味において困難な状況に置かれた人々が、主体的に(自分の内面から湧き上がる意思に沿って)その問題状況を改善するパワーを高める(自分本来の潜在能力を回復する)こと」と解されますが、有体に言えば、支援を受けることを含め日常の様々な出会い、交流、事件などを経て本来の自由な自分に目覚める(自己覚醒、自己実現)といった意味になるのでしょうか。つまり、リスクを冒しても自己実現しようとする過程が「チャレンジ」であり、障害者支援施設は、入所利用者の「チャレンジの場所」であるべきであると言うのです。
こうして見てきたときにはじめて、新法が掲げる「社会参加の機会の確保」「社会的障壁の除去」「合理的配慮」「共生社会の実現」「地域移行」などのキーワードが、「障害者の尊厳の確保」という理念と自然に「コラボ」して繋がっていくように感じるのは私だけでしょうか。それと同時に、利用者の「チャレンジ」を保障していくためには、それを支える「施設と地域社会の有機的な連携」をもっと深めていかなければならないという思いが強く残った次第です。
本年度も宜しくお願いいたします。
(平成25年4月)
年頭にあたって2013/01/19 12:00 (土)
障害者支援施設ニューライフ君田 施設長 増岡孝紀
平成25年の年頭にあたり、平素からニューライフ君田へお寄せいただいている皆様のご支援ご協力に対し、改めて深く感謝を申し上げます。
今年は、障害者自立支援法に代わる新法「障害者総合支援法」がいよいよ4月1日に施行されます。
新法では、法の目的が「自立」に代わって「基本的人権を享有する個人としての尊厳」として明記されたほか、「基本理念」の条項が新たに設けられ、そこには「障害者等の日常生活・社会生活への支援は、法の目的たる個人としての尊厳が保障された共生社会を実現するため、社会参加の機会や地域社会における選択と共生の確保及び社会的障壁の除去に資するよう総合的、計画的に行わなければならない」と謳われています。
これらは、障害者権利条約批准に向けた改正障害者基本法等を踏まえた流れですが、こうした考え方を単なるスローガンとして終わらせることなく、滞りなく実態として定着させるということは、即ち具体的なサービス提供基盤を一つひとつ整え充実させてていくことに他ならず、そのための新しい制度・施策の確立が切に望まれるところです。
ともあれ、新法に示された「個人としての尊厳」や「共生社会の実現」は、備北福祉会が基本方針として掲げている「自立」から「自律」への視点、即ち「他の支援に頼らない自分」から「支援を受けながらも自らの意思に基づき主体的に行動する自分」という方向性や、「住み慣れた地域でその人らしい日常生活が送れるよう地域の福祉ニーズに的確に応える」という支援方針が、障害者福祉関係法においてもより明確に示されたという意味で大変意義深いことだと思います。
特に、「共生社会」の実現に向け、地域に密着したサービス提供の主体者たるべきことは、備北福祉会発足以来一貫して職員に求められている命題だと思いますし、地域住民のどんなに小さな思いや困難な願いに対しても、それを丁寧に受け止め、その人の自己実現のために真摯に取り組み続ける姿勢は、けっして忘れてはならないと思います。
今年も、ご利用者、ご家族、地域の皆様、職員一同が、共に支え合い、助け合う関係が一層深まっていくよう努力する所存です。
本年も宜しくお願いいたします。
(平成25年1月)
年頭にあたって2012/01/12 12:00 (木)
障害者支援施設ニューライフ君田 施設長 増岡孝紀
謹んで新年のご挨拶を申し上げますとともに、平素からニューライフ君田へお寄せいただいている皆様のご支援ご協力に対し、深く感謝を申し上げます。
咋年の大きな出来事といえば、なんといっても3月11日の東日本大震災です。この震災により、お亡くなりになられた方々に心より哀悼の意を表しますとともに、被災された方々にあらためてお見舞いを申し上げます。
あの日以来世間には、なんとも言えない押しつぶされたような雰囲気というか、重苦しい閉塞感が漂っておりますが、一方では、新しい希望の光とも言えるものへの確信が生まれているのも事実ではないでしょうか。
私たちは、全国津々浦々から支援のために現地に赴いた人たちが、復興に向かって力強く立ち上がっていく被災者と接する中で逆に勇気付けられたという話をよく耳にいたしますが、事実、その姿からは、未曾有の困難によって磨き出されているとも言うべき、尊厳と自信を失わない日本人の精神力、人間本来の強さ、勇気、優しさといったものを強く意識させられます。
さて、障害者福祉の動向に目を向けますと、本年は、いよいよ自立支援法に代わる「障害者総合福祉法(仮称)案」の内容が明らかになり、国会での論議が始まります。
利用者様の本心からのニーズに気づき、本人の最大限の可能性に着目した質の高いケアマネジメントを行おうとしても、自立支援法下のような制度的基盤の弱さのため、それに答えるべきサービスの種類と量が足りず、「ケアマネジメントの空洞化」が叫ばれることの無いような新しい制度の確立が切に望まれるところです。
ニューライフ君田といたしましても、新法制度の理念と自らが目指すべき方向をしっかりと見据え、震災を通して示された人間本来の強さを信じて、利用者様の生きがいある生活に寄り添えるよう、職員一丸となって努力してまいりますので、今後ともご支援ご協力の程よろしくお願い申し上げます。
本年が、皆様にとってより良き年となりますようお祈り申し上げます。
(平成24年1月)
年頭にあたって2011/01/10 12:00 (月)
障害者支援施設ニューライフ君田 施設長 増岡孝紀
新しい年を迎え、皆様の平素からのご厚情に対し、改めて深く感謝を申し上げます。
例年になく厳しい暑さが続いた昨夏、繰り返し聞かされた気象予報士の長期予報は「来年の冬は、雪が多く寒さも厳しいでしょう。」でした。「うーん。全くそのとおりだ。」とつぶやく日が連続する昨今ですが、皆様におかれては、お変わりなくお過ごしでしょうか。
平成23年が皆様にとって良き年となりますよう心よりお祈り申し上げます。
さて、ご承知のとおり、わが国政府は「障害者の権利に関する条約」の批准に向け、現在、傘下の組織「障がい者制度改革推進会議」において、障害者基本法の抜本改正をはじめとする国内法の整備等の準備を進めています。
同会議は、昨年末にまとめた「障害者制度改革の推進のための第二次意見」の中で、その目標とすべき社会を、「インクルーシブな社会」(共生社会)とし、「保護される客体ではなく権利の主体としての障害者」は「他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する権利」を認められるべきであるとしています。また、「いかなる障害者も通常の生活形態が保障されるべきであり、家庭から分離され、見も知らぬ他人との共同生活を強いられ、地域社会における社会的体験の機会を奪われるいわれはない。障害者に対する支援は、本来、通常の生活を根拠として組み立てられるべきである。」として、入所施設や病院から地域への移行の必然性を強調しています。
私は、この意見書を読んで、少なからず驚いたのですが、そこには、入所施設が果たすべき今後の役割や施設サービスの方向性といったテーマについての記述が全くといっていいほどなく、それらは、「地域生活への移行」という概念の中で、止揚され、淘汰される対象としてしか描かれていないということです。住み慣れた地域で生きがいを持ち自分らしい生活をしたいという切実な願いを持っていても、そのための制度的基盤や社会資源といった「受け皿」が未成熟な現実社会にあって、施設での生活を「余儀なくされた」最重度障害者に寄り添ってきた施設職員としてみれば、読むほどに一種寂しい思いに駆られてしまうのではないでしょうか。
入所施設そのものは、確かにインクルーシブな社会が実現するまでの過渡期における現実的な存在意義しかもち得ないものかもしれません。しかし、障害者への支援をめぐる理想と現実の狭間にあって、私たちがこれまで目指してきたものは、決して重度障害者の生活支援を専門的に行う「閉鎖的大規模施設」であったわけでなく、可能な限りの自由選択と本人の自己実現への支援であったことも事実であり、私たちは、これまでの取り組みを正しく評価し、自信を持って社会に訴えていくべきだと思います。
ともあれ、「全ての障害者が、分け隔てられることなく、社会の一員として受け入れられ、合理的配慮や必要な支援の充足を通じて、障害の有無に関わらず地域社会で共に自立した生活を営むことが確保されたインクルーシブ社会」(同)の構築が、私たちの究極の目標であることは疑いようもなく、また、最も社会から疎外されやすい最重度障害者の地域生活が保障されなくては、その実現もあり得ないわけで、その意味において、私たちの果たすべき役割は極めて重要といわざるを得ません。
「どこそこでは、観測史上最大の降雪がありました。」
異常な今冬の寒さを報道するニュースを聞きながら、施設自体が「地域における選択可能な居住空間」として脱皮できるか否かが問われる時代がいよいよやってきたなという実感と、自分自身も新しい時代の到来にあわせ日々脱皮していかなければという思いを強くしている昨今です。
(平成23年1月)
新事業体系への移行にあたって2010/04/22 12:00 (木)
障害者支援施設ニューライフ君田 施設長 増岡孝紀
陽光が天地に満ち溢れ、万物が生き生きと輝く季節を迎えました。
平素から、皆様には一方ならぬご支援ご協力を賜り、改めて深く感謝を申し上げます。
さて、障害者自立支援法の全面施行から3年余り、社会福祉法人備北福祉会では、身体障害者療護施設ニューライフ君田及び身体障害者通所授産施設君田作業所が、4月1日より同法の定める新事業体系に移行しました。
しかし、その障害者自立支援法も、民主党による新政権の誕生を受け、平成25年8月を目途に廃止され、総合的な障害者福祉法制に移行するとか。猫の目のように変わるわが国の福祉制度ですが、今後の障害者福祉の方向性、即ちその思想的なバックボーンがどっちに向くのかが気になるところです。
政府傘下の組織「障がい者制度改革推進会議」等におけるこれまでの論議の中では、「障害者の権利に関する条約」のコンセプトを基本的に踏襲していくという方向性が示されています。それは、社会生活上の困難のためなんらかの支援を必要としている人々を社会の構成員としてそのまま包み込んでいく、つまり、多様な個性や価値観を許容でき、誰も差別されたり排除されたりしない共生社会を構築することが重要であるという考え方(インクルージョン)です。こうしてみると、それは、私たちが今まで取り組んできた方向性とスタンスとして近いのではないかと思われます。むしろ私たちが目指してきた方向性が、新しい総合法制のもとで、より具体化していくのではないかという期待を持ってもいいのではと。
しかし、制度改革の度に溜息をつかされてきたこれまでの経緯を思えば、障害者福祉の今後も、巷間言われる政治・経済・社会情勢のように、「この混沌として不透明な状況はいつまで続くのか。」と言ったところでしょうか。
いずれにしても、私たちにとって重要なのは、自らの目指すべき方向をしっかりと見据えて動じないことです。さまざまな困難を抱える人々の人生に寄り添うとはどういうことなのか。支援を受けながらも自分の本心に基づいて生きようとする意欲を大切にするサービスとは何なのか。そのことに迫ろうとする日々の努力こそが目標とならなければならない。新体系移行に当たって、そんなことを痛感している今日この頃です。
(平成22年4月)
就任あいさつ2009/04/17 12:00 (金)
身体障害者療護施設ニューライフ君田 施設長 増岡孝紀
梶原進前施設長の後任として平成21年4月1日着任いたしました。前任者のご功績があまりにも大きいため、それを引き継ぐことの重さを身にしみて感じている今日この頃です。また、私は障害者福祉については経験も知識もないため、皆様にはいろいろとご迷惑をかけると思いますが、一歩一歩階段を昇るごとく、新しい時代の生活支援のあり方を求めていきたいと考えています。
私は昭和44年から京都の龍谷大学で学びましたが、学業の傍ら、狩野永徳の襖絵「四季花鳥図」など数多くの国宝や千利休が切腹したと言われる塔頭としても有名な大徳寺聚光院で4年間坐禅を組みました。そこで学んだことは、只管打坐(しかんたざ)ということです。それは、坐禅をして悟りを得たいとか、心を落ち着けたいというような想いを持つことすら否定して、唯ひたすら坐禅に集中する。坐ることそのことが重要であり、坐っているうちに道は自然にひらけるとする教えです。つまり、目標に向かいつつもそれすら忘れて唯ひたすらに努力をする、その努力の過程こそが大切だというのです。
また、ある作家は、「他人の気持ちになって考えること」というテーマについて、次のような意味のことを述べていました。「人それぞれが個性や異なる人生を持つ以上、他人の気特ちについていくら考えても最終的にはわからない。しかし、わからないだろうとあきらめて最初から考えないのでなく、他人の気持ちになろうと必死に考える。考えれば考える程、私との間には深い心の溝が横たわるだけだが、その考える姿勢こそが大切だ。」と。
「素人」だから言えるのかもしれませんが、私は支援活動のあり方もそうした視点が大切だと感じています。各々の利用者さんにとって生きる歓びとは何なのか、今一番実現したいことは何なのかを、わかったつもりにならず、あきらめず、不断に問い続ける姿勢こそが重要だと考えています。一人ひとりの人生に近づこうとする努力を日々新しく続けていくこと、そのことが支援する側の私たちにとっても生きがいになれば、それが理想のサービスに繋がっていくだろうと確信しています。
(平成21年4月)